■ジェシカは死ぬことにした?

小学校時代を終えて中学に入学したあたしはまだまだ調子に乗っている。なぜなら小学校よりも広い範囲の子供たちが集まって、そしてテスト結果には順位が計算されるようになるから。 中学1年の頃の思い出として残ってるのは、引っ込み思案の友達が吹奏楽部の…

■ベロニカは死ぬことにした。

確か大学の相談室でそんなタイトルの本を見つけて読んだ。ベロニカは睡眠薬を飲んで眠るように死ぬつもりで…あんまり内容は覚えていない。睡眠薬じゃなかったかも。でもタイトルがすごく頭に残った。「死ぬことにした」って、潔い。本として成り立っていたん…

春もしくは秋、風の強い日、教師の視野から外れやすい窓際の席で、風を受けて舞い上がるカーテンに自分だけが隠れるあの瞬間が堪らなく好きだった。元々熱心にも聞こえないトーンをした教師の声が数秒の間一層遠くなる気がして、生徒のうちの一人にすぎなか…

■test2

仕事から帰ったら、壁から手が一本突き出ていた。握手を求めるかのように、人の右手がゆらゆら、ゆらゆらと壁から生えている。壁の向こうは隣の家だが、まさか隣人が壁を突き破って右手を差し出し続けているはずはない。 (壁から生えたのか) カビが生えた…

■test

それはスクランブル交差点の中央にあった。 日付は連休の真っ只中で、いつにもまして通行量の多い車、自転車、そして人、人、人。行き交うそれらから奇跡的に逃れたような場所で、自分は一筋の糸を拾った。糸である。それも毛糸のような太さのあるものでなく…